【完】君の笑顔





さっきよりも苛つきが増した様子の岡本さんは、黙って歩いていく。



どこまで歩いていくつもりなのかと思っていたら……



「……売店ですか」




たどり着いたのは一階にある売店。



外に出るつもりでは無かった事を知り安心する。




岡本さんは、僕を気にせずずかずかと店内に入る。


苛ついているし、何をしでかすか予想が全くつかない。



もしかしたら、お菓子のヤケ食いをするかもしれないし、禁止されている物を食べるかも……。




何かあったらいけないと思って、岡本さんに「ウザイ」と言われる事覚悟で僕も跡を追う。




買っている物まで確認されるのは嫌だと思うし、僕もあまり良い気はしない。




それでも、ここで見逃したら後で取り返しのつかない事になってしまうのが怖くて仕方なしに見守る。






……だけど。




岡本さんは意外に良い子だった。


てっきり甘いものでも買うのではないかと思ったけれど

ジュース売り場へ行って手に取ったのはレモンティー。




「……コレ。ハマりました?」




ハマってこればかり飲んでくれたら良いけど。



後ろから見ているだけではいたたまれなくなり、声をかける。




……チラっと僕を一瞥しただけで、口は堅く閉じてレジへ向かってしまった。







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