【完】君の笑顔
「どうしました?高橋先生」
体温計を手に取っていると、近くで点滴の用意をしていた看護師から声をかけられた。
「岡本さんが熱出したみたいで……」
それだけ報告して、僕はすぐに岡本さんの待つ部屋へと戻った。
部屋へと入ると岡本さんは大人しくベッドに潜り込んでいた。
外に出ようとばかりしている岡本さんが、自分からベッドに入り込んでいるのは珍しい光景。
体温計を差し出すと、黙って受け取り計り始める。
しばらくして電子音が鳴り、ゆっくりと取り出す岡本さん。
服から体温計が取り出された所で僕は半ば強引に体温計を取り上げ
表示窓に目をやった。
……思った通り。
「……38,2か…」
「ウソっ?」
岡本さんは僕の呟いた声を拾い驚いた声を出す。
体温計を見たそうにしている為、ハイ、と表示窓が見えるように岡本さんの前に見せてあげる。