【完】君の笑顔





……とにかく、岡本さんが話してくれたお陰で発熱の原因が分かった。




その原因に、思わず僕は笑ってしまう。




……熱を出して苦しんでいる岡本さんの前でこうやって笑ってしまうのは失礼。




出来るだけ声を押し殺して、顔が笑顔になってしまうのを我慢していたけれど



体が震えてしまったのが伝わったのか、岡本さんは閉じていた瞳を再び開けた。





「何で笑ってんの?」




訳が分かっておらず、怪訝な顔で僕を睨む。





……熱が出た原因、教えてあげよう。



「それ、知恵熱って言うんですよ」




難しい事を考えたり、普段使わない頭を使うと出てしまうと言われている熱。



岡本さんも、“知恵熱”の意味は解っているらしい。



あぁ……と納得の表情を浮かべた後


「笑う事ないじゃん」


と冷たく言っただけだった。




熱が辛くて怒る事も怠いらしい。


冷たく言われても、いつものような刺々しさが無く、弱々しい。






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