【完】君の笑顔
寒い夜
「岡本さん、大丈夫ですか?」
体温計を持ってナースステーションへと向かうと、さっきの看護師。
「熱が38度越えてました。風邪では無さそうなので多分疲労からきたんだと思います」
知恵熱みたいですよ、とは岡本さんが可哀相で言えなかった。
体温計を元のケースへと収めると、顔だけを看護師の方へと向ける。
「一応定期的に様子は見といてもらえますか?僕も出来るだけ見に行きますから」
「分かりました」
お願いします、と告げて冷蔵庫の方へと歩いていく。
冷凍の方のドアを開けると、中に入ってある氷枕。
それを持ってまた足早に岡本さんの元へと向かう。
岡本さんのベッドへと近付くと、岡本さんは首までしっかり布団を被って寝息をたてていた。
ゆっくりと片手で頭を抱え、支えながら枕を引き抜く。
そして、枕に巻かれているディズニーのタオルを氷枕へと巻き替えると
再び岡本さんの頭の下へと置いた。
普通なら目を覚ます岡本さんも、今は目を開く気配はない。
全く動かず、規則正しく肩が動いている。