【完】君の笑顔
清水先生の判断が無いと、自分で勝手に決める事ができない。
まだまだ一人前になれていない証拠。
「……良いんじゃない?高橋先生が付いていれば。
でも、糖分控えめのアイスってあるかね?」
「アイスと言うか、シャーベットみたいな物ですかね。
氷に僅かに味が付いているだけなので、大丈夫かと」
僕も甘いものが苦手で、でも夏場暑くて何か冷たい物を……と思った時に買って食べるアイス。
あれならきっと大丈夫だと思う。
夏場限定、とかでは無い事を祈る。
「さすが高橋先生、若いねー…。
昔は良く食べていたけれど、今種類を聞かれても全く分からないな」
清水先生はにっこり笑いながら目を細めた。
「そう言う事なら、もう上がりなさい。
……と言ってもまだまだ病院から帰れそうには無いけどねぇ……」
「……清水先生は…?」
確か昨日当直だったはず。
僕は明日だけど。
「もう少し紹介状などに目を通してから上がるよ。お疲れ様」
「……失礼します」
ひらひらと片手を上げる清水先生に、軽く一礼をしてから財布を白衣のポケットに押し込んで歩きだした。