【完】君の笑顔





関係者出入口の方から外に出る。


ドアが開いた瞬間、冷気がすごいスピードで体を包み込んできた。



……寒い。



上着を着てくれば良かった……。



院内が暖かい為、つい何も考えずに白衣一枚で出てきてしまった。


そのまま早足でコンビニを目指す。




病院の反対側の通りを少し行った所にあるコンビニ。




足を踏み入れると、「いらっしゃいませ」と明るく言う店員がいるレジの前を通って


真っ先にアイス売り場へと向かう。




夏場に食べていたアイスは年中売ってあるらしい。



何も味の付いていない物と、僅かに桃の味が付いてある物とがあった。



……できれば氷の方が良いけれど。


それだと絶対に岡本さんに文句を言われるだろうなぁ。



今日だけ、特別に。


手に取ってレジへと置く。


「ありがとうございましたー」


店員の言葉を背中で受けとめながら、再び寒い中を早足で病院へと戻った。








< 64 / 268 >

この作品をシェア

pagetop