【完】君の笑顔





さっきの冷たいはアイスじゃなくて僕の手がって事ですか……。



「まぁ、夜だったんで寒かったけど……」



岡本さんは僕の言葉を聞いてるのかどうか、何も答えずに僕の体をあちこち触っていく。



……ボディチェックみたいに。



何をそんなに調べているんだろう?と思いながらも大人しくじっとしていたら……。




「風邪引くじゃんか……
あたしの我が儘聞いちゃってさ」


一通り上半身を触られた後に僕の手を握って、珍しい言葉を吐く。



僕の体を気遣ってくれてるの?



この前から。休んで、とか無理しないで、とか。



急に、どうしたの?



僕、そんなに無理しているように疲れているように見えるのだろうか?




手を握って、きっと自分の持っている熱を冷ましながら僕の手を温めてくれているのだろう。




「……熱出た時ってお母さんが我が儘聞いてくれるんですよね。
だから、我が儘聞いちゃいました」


「高橋はお母さんでもなんでもないけどね」




さすが。


熱が出ていても返しは鋭い。




「そうですね」


苦笑い。



確かに僕はお母さんでは無いけど……岡本さんのお母さんの代わりに我が儘を聞いてあげようって思ったんだよ。







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