【完】君の笑顔
岡本さんの行動に驚きながらも、頭の中では冷静にカーテンが閉まっていて良かったと思った。
こんな所、誰かに見られたら……。
そう、もし、見られてしまったら。
ビックリされるに違いない。
「……岡本さん」
ふと岡本さんを呼ぶと、
「あーあ。
冷たくて気持ち良かったー」
そんな事を言いながら、ゆっくりと体を離す。
「ちょっとは暖まったんじゃない?
あたしも冷えたし……」
確かに。
今の今まで岡本さんが触れていた所は、未だに少し暖かい。
岡本さんも……少しでも熱が下がっていたら良いけれど。
「頭痛くて眠たいし、あたしもう寝る。
高橋ももう帰っていいよ」
岡本さんは今度は僕が何も言わなくても自分から布団に入る。
「え?」
思わず零れた言葉。
「あんた、早く帰れば?
勤務時間終わったんだし」
岡本さんは、いつものように僕に告げる。
勤務時間は終わってるけど……。
「でも岡本さん、熱が……」
熱を出してるのに、平気で帰ることなんて出来ない。
心配し過ぎって、岡本さんは絶対言うと思うけど……もし、悪化したら。
発作が起こったら、って気になってしまう。