【完】君の笑顔
だから、熱が平熱に戻るまで病院に泊まろうと思ってた。
僕がなかなか帰る素振りを見せず、椅子に座ったまま岡本さんを見ていると、岡本さんは嫌そうな顔をする。
「あのねぇ。
風邪じゃない知恵熱なの!
横になって何も考えずに寝てれば明日には治ってんの。
だからわざわざ心配する必要もないから帰って」
あまりに大きな声で。
あと少しで消灯時間になるし、寝ている人にも迷惑が……。
僕は喋り続ける岡本さんの言葉を聞きながらトーンを落とすよう言う。
最後の方は言われた通りに小さくトーンを落としてくれた岡本さん。
あまりに苛ついて血圧上げて欲しく無い。
「大丈夫ですか?」
「ん」
最後に聞くと、岡本さんは短く答える。
……なら。
ゆっくりと立ち上がって椅子を片付けた。