【完】君の笑顔
「……それじゃ、岡本さんが寝るまではここにいますね」
このまま直ぐに帰るのはやっぱり心配だから。
……せめて、岡本さんが寝付くまでは。
「……寝たら帰りますから」
ちゃんと寝たら戻るから。
これ以上言わせないように、岡本さんが口を開くより先に言う。
そして、寝ている岡本さんの首元を触って熱を確認した。
……結局、買ってきたアイスは食べずに終わってしまった。
ま、いっか。
冷やしといて、明日食べれば。
首に手を置いたまま、すぐそこに置かれている未開封のアイスを見ながら思っていると。
ギュッと白衣が引っ張られた感覚がして、僕はそっちに視線を向ける。
帰れば?って言ったくせに僕の白衣を握っている岡本さん。
ふっ、と口元が緩んだ。
「……おやすみなさい」
もう眠たいのか今にも寝そうな岡本さん。
「…おやすみ」
静かに言って、僕は目を閉じた岡本さんの額に手を置いて、軽く撫でた。