【完】君の笑顔





サラサラで、目にかかっている前髪を指で避ける。



岡本さんは、もう既に意識を手放したらしくピクリとも動かない。


ただ一定に規則正しい呼吸音が聞こえるだけ。




……寝顔からは想像できない。



結構毒舌な岡本さん。




もう一度布団と氷枕の溶け具合を確認して、消灯時間になったのをきっかけに僕は部屋を後にした。





「これ、中に入れて冷やしといても良いですか?」




ナースステーションで、ファイル整理をしていた近くの看護師にアイスを見せながら聞く。




結局、岡本さんの興味がアイスよりも僕の冷たさの方に来て開封すらしなかったアイス。



岡本さんもアイスの存在をすっかり忘れて寝ようとしてたし。




黙って入れておいても問題は無いだろうけど、一応確認を取る。




「あ、どうぞ」




ファイルから顔を上げてアイスを見た看護師は、ふわっと笑う。




軽く頷いて冷凍庫の方のドアへと手をかけようとした時、




「あ!」と言う看護師の声が後ろから聞こえて、思わず手を止めた。








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