【完】君の笑顔
目ざとく気付くなぁ……。
投げ捨てられた無残な蓋。
って……蓋を捨てるって事は、全部食べきる自身があるから?
熱は下がったけど、全部は食べさせる訳にはいかない。
「いっただきまーす」
嬉しそうに氷を摘むと口の中へと運んでいく。
ある程度食べ進めたら止めよう。
そう思い、食べていく岡本さんを観察する。
「やっぱ味薄……」
「薄いの買ってきましたから」
「……あっそ」
いちいちあたしの呟きに返さなくても良いから、と言いながらまた食べていく岡本さん。
文句を言いつつ結局食べてる所に自然と笑みが零れる。
「……高橋もいる?」
不意に差し出されたカップ。
半分ほど食べた所で聞かれる。
そろそろお終いですか……。
「いただきます」
そう言ってカップを岡本さんの手から奪った。
「あぁ!」
手で取ると思っていたらしく、油断していた為、簡単に奪う事が出来た。