【完】君の笑顔





目ざとく気付くなぁ……。



投げ捨てられた無残な蓋。



って……蓋を捨てるって事は、全部食べきる自身があるから?




熱は下がったけど、全部は食べさせる訳にはいかない。




「いっただきまーす」



嬉しそうに氷を摘むと口の中へと運んでいく。



ある程度食べ進めたら止めよう。


そう思い、食べていく岡本さんを観察する。




「やっぱ味薄……」


「薄いの買ってきましたから」


「……あっそ」




いちいちあたしの呟きに返さなくても良いから、と言いながらまた食べていく岡本さん。




文句を言いつつ結局食べてる所に自然と笑みが零れる。




「……高橋もいる?」



不意に差し出されたカップ。



半分ほど食べた所で聞かれる。




そろそろお終いですか……。




「いただきます」



そう言ってカップを岡本さんの手から奪った。




「あぁ!」



手で取ると思っていたらしく、油断していた為、簡単に奪う事が出来た。








< 78 / 268 >

この作品をシェア

pagetop