【完】君の笑顔
「この位で終わりです。後は僕が責任持って食べるから」
「……今日はもう食べないから、冷やしといてまた明日食べるのは?」
どうしても食べたいらしい。
「ダメ。蓋捨てちゃったし、衛生的にも悪いから」
「……潔癖症」
ぶすっと膨れる岡本さんに溜め息を吐く。
「元々食べれない物を特別に少しだけ……って事で許可したんですから」
「分かってるって。どーぞ!高橋が全部食べちゃって下さい。
……いる?何て聞かなきゃ良かった」
はぁーと溜め息を今度は岡本さんが吐く。
「薬、ちゃんと飲んでくださいね」
「……分かってるって」
岡本さんは窓の外へと視線を向けて答える。
「それでは」
「……高橋」
出ていこうと体を反転させた時。
さっきよりも僅かに優しくなった僕を呼ぶ声を聞いて、振り向く。
「……寒い中、わざわざ買ってきてくれてありがと」
窓の方を向いているから、どんな表情をしているのか分からないけれど、彼女の感謝の言葉。