【完】君の笑顔
「変わってませんね、先生。研修生だった時も結構悩まれてましたよね」
「……そうですか?」
悩んでいた、と言う自覚はあまり無いのだけれど……
「今は、どんな子の担当で?」
「……19歳の女の子です」
ふと、岡本さんの顔が頭に浮かぶ。
こうして言葉に出して言うと……19って本当に若いな、って。
「うわぁー……難しい歳ですね」
「ですね」
難しいなんてもんじゃない。
何を考えてるのか、
何をしたいと思っているのか、
言ってくれず黙ったままでいる事が多いからどうして良いのか分からなくなる。
娘に嫌われた父親……の気持ちを体験しているみたい。
『きーず!!』
『結婚できないかもね』
そう言っていた岡本さん。
そして、目の前には岡本さんと同じ病気で手術をした横田さん。
手術をした後、結婚して、こうして子供まで……。
丁度良い機会かもしれない。
「横田さんは、傷の事。気にしたりしますか……?」