【完】君の笑顔
この病院に入院していて、手術を受けて、退院して。
その後、こんなに幸せそうに笑っていた横田さんに僕は嬉しくなる。
岡本さんにも、横田さんのように幸せになって欲しい。
ピピピピピピ……
閉まったエレベーターの前で少しの余韻に浸っていたら鳴り響く電子音。
「はい」
素早く電話に出ながら、体はもう部屋へと向かっていた。
≪高橋先生、岡本さんがまた……≫
岡本さんの病院抜け出しを知らせる電話。
「中庭とかには居そうにないですか?」
≪一応探したのですが…見つからなくて。携帯にも出なくて……≫
「分かりました。僕も探すので、見つけたら連絡お願いします」
そう告げて、通話を切ったと同時に岡本さんの部屋の前。
外から岡本さんの居るはずのベッドを見るけれど、そこに居るはずの岡本さんはいない。
……この前知恵熱、出したばかりでまだ体調も完全に治っていないだろうに。
まだ手に握っているPHSから、岡本さんに連絡を入れる。