【完】君の笑顔






「仕事中にボーっとしてるなんてさ……手術中もボーってしちゃうかもしれないの?
それだから受けたくないんだよね。危ない」




痛い返答が来る。


だから受けたくないって……。



手術中に他の事に意識を向けたりは、絶対に有り得ない。


……岡本さんが受けたくないと思ってしまうような行動をしてどうするんだ。


また手術受けるまでの道が遠ざかったようで憂鬱な気持ちになる。


「すみません……って、何か落ちてますよ」


聞えないように静かに溜息を吐きながら、何気なく視線を足元へとやると、袋に入った何かが落ちている。



「ちょ、まだ入って来ないでよ」


拾おうと屈めば、カーテンに当たり入ってくるのかと思ったらしい岡本さんが声を出す。



心配しなくてもまだ入りませんよ。



「大丈夫です」


そう言いながら、袋を拾う。



何を買ってきたんだろうと気になって中を覗いてみれば、本。



雑誌かと思ったけれど、雑誌のように大きくも無いし分厚くも無い。



取り出してみれば、綺麗な星空の表紙。




「……星?」




その綺麗さに思わず見惚れていると



「何勝手に見てんの」




着替えを終えたらしい岡本さんがカーテンを捲ってきた。








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