【完】君の笑顔





あさみちゃん……岡本さんの親友。



病院でずっと頑なに笑顔を見せず無口で景色ばかり見ていたと思っていた岡本さんが


あさみちゃんの前では笑顔で笑ってたんだよね。



「うん。毎年あげててもう何をあげたら良いか分かんないし。どうせなら本人の欲しい物あげた方が良いじゃん」



それを聞くために抜け出したんだ……。



きちんと言って外出許可を取れば良いのに。


許可出せるかどうかは分からないけれど……。



「岡本さんは何か欲しいものありますか?」


「あたし?
あたしは誕生日まだだから」


岡本さんは、あんまり欲が無いような気がする。


「知ってる。12月だよね?」


カレンダーに目をやる。

まだまだ先だ。



「……何で知ってんの?」



僕が岡本さんの誕生日を知ってる事に疑問を思ったのか眉間に皺を寄せる岡本さん。



そんなに嫌そうな顔をしなくてもさ……。



「カルテ」



岡本さんと反対で僕は笑顔で答える。



ほぼ毎日見ているから、わざわざ生年月日を見ようと思ってなくても目に入って


それを無意識に覚えてたんだ。








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