【完】君の笑顔
「良くそんなの覚えてるよね?
変態?ちょっと怖いし」
明らかに気持ち悪いと思っている目で僕を見る。
顔も思いっきり歪めてるし。
わざわざ覚えようと思って覚えた訳では無いから。
「岡本さんのカルテ見た時に思ったんです。寒い時に生まれたなーって」
春とか暖かい季節に生まれたようなイメージがしてたから。
冬だったんだ……って。
「誕生日覚えてるんならプレゼントちょーだいよ」
そう言ってニヤリと笑う岡本さん。
……誕生日まで此処にいるつもり?
いつまで入院しておくつもり?
「手術頑張ったらあげますよ」
……僕としては誕生日迄に手術をして退院して、此処ではなく岡本さんの好きな場所で祝ってもらえば良いと思う。
……医者や看護師からじゃなく、友達に。
同じようにニヤっと笑って言ってみれば
「いいや。プレゼントいらない。プレゼントで釣られない」
とやっぱり拒否する。
「やっぱ無理ですか」
釣れるなんて思っていなかったけれど
『誕生日までに退院したいから手術を受ける』って気になってくれないかな、と思った。
だけどやっぱりそんな気にはならないみたいだ。