光の姫は何を見る
あたしが交通事故で死にかけてる? そんな記憶はあたしには…ない。
でもあたしには小さい頃の記憶がほとんどないから、否定したくても出来ない。
だったら、光の姫が言うことが正しい?



「光の姫が言ってることはよくわかんない。幼い頃の記憶なんてこれっぽっちも覚えてないからさ」


自分で考えても全然わからなくてつい光の姫に疑問をぶつけてしまう。


あたしの問いに光の姫は少しの間考える。そして、なにか思いついたようだけど少し寂しい表情で話だす。


『確かに事故のショックで忘れてしまってるのかもしれませんね。でしたら、その頃の記憶を見せてあげましょう』


そう言いながらもあたしの額に光の姫の手が触れた。すると暖かい光があたしに注ぎこまれた。




そこに見えたのは子供の頃のあたしの姿だった。







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