光の姫は何を見る
皆がやっとかって顔をしながらも闇の王の動きを止めてくれる。


その隙に言霊を唱える。


ー我ニ宿リシ光ヨ 我ニ力ヲ与エ カノ者ノ 憎悪ノ塊ヲ 浄化シタマエー


言霊を唱えた瞬間にあたしの身体は光輝いた。


「お主はどこで言霊を覚えたんだ」


闇の王は驚きを隠せない様子で尋ねてきた。


「どこだろうね?」


闇の王をからかうように呟くとあたしは闇の王の心臓に向かって右掌をかざした。


「光の浄化(ライトパリフィ)」


静かに呟くと闇の王が悶え苦しむ。それと同時にあたしに闇の王の記憶が流れ込んでくる。



この人はきっとあの人間の恐ろしい目をいつも見ていたんだ。


そう思うと自然と涙が流れてくる。あたしは闇の王と共鳴するように心が痛んだ。



そして闇の王の方を見るとそこには見たことある顔があった。


「…ゆ…き…?」


あたしはその呟くと同時に意識を手放した。


だって闇の王の方を見るとそこには幼い頃に一緒に遊んだことがある男の子がいたのだから。




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