光の姫は何を見る
彼の名は黒羽 雪夜(クロバネ ユキヤ)。
彼はあたしの髪を見ても驚くことなく逆に『綺麗…』って言ってくれた男の子だ。
そのお陰でもしかしたら親に憎悪の念を持たなかったかもしれない。それほど嬉しいことだった。
そんなある時。彼がここから引っ越すことが決まった。
ここから遥か遠い場所へと行くのだと言うのだ。そのことにあたしは涙したのを覚えてる。
だって幼いながらもこの少年を好きなんだってことを知っていたからだ。
『ねぇ。僕は遠くに行っちゃうけど僕は絶対にヒカちゃんのこと忘れないよ?
だから泣かないで?』
そういってユキ君はあたしの額にキスを落とした。それはとても懐かしい光景だった。
白い…部屋?
幼かった自分の光景から白い部屋に変わったから驚いてしまった。
『ヒカリ。お疲れ様でした。貴女のおかげで闇の王を倒すことが出来ました。
ですがこれで平和になったわけではありません。
闇の王が居なくなっても今度は他の誰かが憎悪によってまた悪は生まれる。
だからそれを貴女が断ち切って下さい』
「それって光の姫がいなくなるみたいな言い方辞めてよ」
『大丈夫。私は貴女の中にいます。それに貴女は一人ではありません』
光の姫はそう言うとスッといなくなった。
そこであたしは目が覚めた。