光の姫は何を見る
あたしがフウタ君の頭を触れた瞬間――


プシュッ


風が皮を切る音がした。


これって前言ってた鎌鼬?

あたしの手から血が流れる。


「白原さん! 大丈夫ですか?
僕は情緒不安定な時は能力も不安定なんです。それなのに能力を制御するピアスもどこか行ってしまって…」


フウタ君は申し訳なさそうな顔で話す。

これはまた傷付けてるよね? カイジ君の話だと実の親から恐れられてたんだから。
あたしが怖がっちゃダメだよね。


あたしはキッとフウタ君を見る。


「あのぅ…白原さん? ごめんなさい」


あたしの様子が変わったのを気付いたのかフウタ君は謝ってくる。


でもそんなのは無視だ。


あたしはまたフウタ君に手を伸ばして、抱きしめていた。


あたしの体には風によって傷が出来ていくけど、あたしの能力によって傷は治っていく。



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