SAYONARA
授業を終え、昇降口の外に出たとき、まぶしい日差しと共に声が届く。
そこにいたのは青のナイロンのユニフォームを着た功だった。彼の手には白黒のボールが握られている。
「今から帰り?」
「図書館で本を返していたらつい遅くなったの」
あたしは肩をすくめてそう答えた。
功はあたしの言葉に柚月らしいと肩をすくめる。
そのとき背後から功を呼ぶ声が聞こえ、彼はあたしに「じゃあな」と声をかけると戻っていく。
功はサッカー部で一年の頃からレギュラーだった。そうした意味では彼はかなりの有名人だった。いや、それは正しくない。正確には中学の頃からだ。
中学生のときには複数の高校からスポーツ推薦の話が来ていたらしい。
勉強が得意でない彼はその話を受けるものだと思っていたのだ。
あたしが立ち去る前にサッカー部が練習をしているグランドに目を運ぶと、校舎の脇にあるベンチに一人の目鼻立ちのはっきりとした少女が座っているのに気づいた。
彼女は二組の徳田知佳。顔を合わせば話をするくらいの仲だ。彼女の視線が功が動くたびに動く。いや、正確には功の傍にいる「彼」を追っているのだ。
そこにいたのは青のナイロンのユニフォームを着た功だった。彼の手には白黒のボールが握られている。
「今から帰り?」
「図書館で本を返していたらつい遅くなったの」
あたしは肩をすくめてそう答えた。
功はあたしの言葉に柚月らしいと肩をすくめる。
そのとき背後から功を呼ぶ声が聞こえ、彼はあたしに「じゃあな」と声をかけると戻っていく。
功はサッカー部で一年の頃からレギュラーだった。そうした意味では彼はかなりの有名人だった。いや、それは正しくない。正確には中学の頃からだ。
中学生のときには複数の高校からスポーツ推薦の話が来ていたらしい。
勉強が得意でない彼はその話を受けるものだと思っていたのだ。
あたしが立ち去る前にサッカー部が練習をしているグランドに目を運ぶと、校舎の脇にあるベンチに一人の目鼻立ちのはっきりとした少女が座っているのに気づいた。
彼女は二組の徳田知佳。顔を合わせば話をするくらいの仲だ。彼女の視線が功が動くたびに動く。いや、正確には功の傍にいる「彼」を追っているのだ。