SAYONARA
あたしは強い風に捲り上げられる髪の毛を右手で押さえる。
季節は秋が過ぎ、冬が訪れようとしている。
何度も頬を叩く風の影響が気になり、通りかかったぬいぐるみがずらっと並んでいる雑貨屋さんのガラスにうつった自分の顔をなんとなく見る。
そのぼさぼさ具合に思わず手櫛で髪の毛を整えるが、あまりまとまりのよくないあたしの髪の毛はすぐにはもとに戻らない。
背後に人の姿が映り、思わず肩越しに振り返ると、そこには髪の毛を短く切った学ランの男が立っていた。
彼は目を丸め、不思議そうにあたしを見ていた。
「何かほしいものでもあった?」
「そんなことないよ。というかまだ閉まっているし」
「そうだけど。それに柚月にはこういうの似合わないよな」
明るい悪気のない笑顔にあたしの胸が痛んだ。そんな気持ちを悟られないように、目を細める。
季節は秋が過ぎ、冬が訪れようとしている。
何度も頬を叩く風の影響が気になり、通りかかったぬいぐるみがずらっと並んでいる雑貨屋さんのガラスにうつった自分の顔をなんとなく見る。
そのぼさぼさ具合に思わず手櫛で髪の毛を整えるが、あまりまとまりのよくないあたしの髪の毛はすぐにはもとに戻らない。
背後に人の姿が映り、思わず肩越しに振り返ると、そこには髪の毛を短く切った学ランの男が立っていた。
彼は目を丸め、不思議そうにあたしを見ていた。
「何かほしいものでもあった?」
「そんなことないよ。というかまだ閉まっているし」
「そうだけど。それに柚月にはこういうの似合わないよな」
明るい悪気のない笑顔にあたしの胸が痛んだ。そんな気持ちを悟られないように、目を細める。