SAYONARA
 予想外の荷物の重さに、功にどうやって聞くか迷いながら帰っていると、肩を叩かれる。振り返ると、見慣れた少年が立っていた。

 彼は黒い瞳を細めて、あどけない少年のような笑顔を浮べている。やっぱり彼は可愛い存在だと確信を持った時、功が頭をかいた。

「柚月のクラスは数学どこまで進んだ?」

「宿題くらい自分でやりなさいよ」

「どうしても分からないところがあってさ」

「なら教えてあげるから」

 功は面倒そうな顔をしている。

「柚月は先生より厳しいよな」

「当たり前でしょう。見せても理解しないと結局無意味なんだよ。そんなんじゃ高校受からないよ」

「それはやばい」

「でしょ。だから教えてあげる」

 彼はあたしの提案を受け入れる。
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