SAYONARA
意外な素顔
 静かな音楽が流れる店内に、時折鐘の音が響く。

 頬杖をついて、窓の外を何気なく見つめていた。

 もう日は沈みかけ、人々が心なしか足早に歩いていた。

「やっぱり言えなかったんですね」

 呆れたような声が耳に届く。すべりのよいテーブルに細い影が映る。その影が太くなるところに不機嫌そうなショートカットの少女が立っていた。

 学校を出ようとしたときに彼女に呼び出された。

 だが、一緒に帰ろうとした矢先、クラスメイトから先生が彼女を探していた事を訊かされ、近くの店で待ち合わせる事になったのだ。

「そんなに分かりやすい?」

「先輩と知り合って何年経ったと思っているんですか?」

 彼女の問いかけに苦笑いを浮かべた。
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