SAYONARA
「そんな日もあるよ。正直言うと、朝、美枝からメールが届いて一緒に行けないと言われたんだ」

 少し照れたような笑顔を浮かべる。

 何も考えていないような口調だった。

 実際何も考えていないんだろう。
 幼馴染と一緒にいた美枝の姿が頭を過ぎる。


 それってやばいんじゃないの?

 思わずそう言いそうになるが、言葉を飲み込んだ。

「理由は聞いた?」

「だから用事があるんだってさ」

 彼女の言い分を素直に受けとめているところはすごくいいと思う。

 だが、用事と言っても幅広い。都合が悪いときにはすごく便利な言葉だ。
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