SAYONARA
 彼から漫画を受け取り、お礼を言ったとき、その漫画の傍に見慣れた紙袋を見つける。

「これ」

「俺からのお礼の気持ち」

 功がくれたのはあたしの大好きなお饅頭だった。小さいころ、功のお母さんが買ってきてくれて、よく一緒に食べていた。

 そのお店まで自転車で十五分。近いといえば近いが、遠いといえば遠い。

「また、三年間一緒だな」

 あたしは功の言葉になのか予期せぬ贈り物になのか喜んでいて、思わず笑顔を浮かべていた。
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