SAYONARA
 目の前にあるのは明るく笑う男と、彼と対照的な険しい表情の黒髪の少女。彼女の手には黄色のパッケージの小麦粉が握られていた。

 功は部活だから一緒に帰れなくても仕方ない。

 だからって、彼と一緒にいる事はないのに。

 買い物をして偶然であったという可能性もある、都合の良い想像をしてみるが、かごを持っているのは彼のほうで、彼女は手ぶらだ。

朝も一緒にいた二人をそうこじつけるのはあまりに無理すぎた。
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