SAYONARA
 あと少しで家にたどりつく、というとき、

「柚月」

 聞きなれた声が聞こえた。

 振り返ると、あたりを裂くような甲高い音が響く。そして、何度も見たことのある銀色の自転車があたしの目の前で止まる。功の笑顔が目に飛び込んできた。

 息が乱れ、頬が赤くなっているように見えた。

 頬が赤く見えるのは夕日の影響かもしれない。
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