SAYONARA
 そこに印刷されていたお店の名前に、昔の記憶がより鮮明になる。

 そこに入っていたものを見て、思わず功を見た。

「これ、わざわざ買いに行ったの? 部活の休みの日に?」

「おう」

 彼は笑顔で応えていた。

「どうして?」

「これを食べたら元気になるかなって思って。最近、元気なかったから」

 彼が差し出したのは合格発表のときにもらったお饅頭だった。

「バカ」

 思わずそんな言葉がこぼれてきていた。
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