SAYONARA
 彼女にだけ優しくしていればいいのに、どうしてあたしに優しくするんだろう。

 その理由は分かっているくせに、そう毒づく。

 幼馴染だからというのとあと一つ。

 彼は誰にでも優しい。

 困っている人を見ると、放っておけないところがある。

「バカでもいいけど、それ、ここに入れろよ」

 そう言って彼が指差したのはあたしの持っている買い物袋と鞄。

「持てるからいいよ」

 そう言って歩き出そうとした。
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