SAYONARA
「この前もおもったけど、すごい良い笑顔で食べるよね」

 見られていたことに気恥ずかしさを覚えて、思わず目をそらす。

「ごめんなさい」

「褒めているんだけどね」

 続きを食べようとフォークを入れたとき、頬杖をついた彼はそっとつぶやいた。

「それ、俺が作ったんだ」

 その言葉を聞き、手を止める。

「そうなんですか」

 あたしはその売り物にでもなりそうなケーキを驚きながらみていた。

「だからここがまずいとか、こうしたらいいとかあったら教えて欲しい」

 そう言われると逆に困っていた。舌に自信があるわけでもなく、人の料理をあれこれ指摘できる自信もない。

「おいしいと思いますけど、細かいことはよく分からなくて。ごめんなさい」
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