SAYONARA
「少し前にあなたと美枝が一緒にいるのを見ました。あまりに親しそうだったから、付き合っているのかなと思うくらいだった」

 聞きたかった言葉がすんなりと滑り落ちてくる。

「幼馴染だから仲はいいよ。それだけだと思うけど。もしかして俺のことが好きなわけ?」

「違います」

 顔が赤くなるのを実感しながら、何度も首を横に振る。

「冗談だって。何を勘ぐってるのか分からないけど、俺と美枝は幼馴染。それ以上でもそれ以下でもない」

 そのとき、彼の手があたしの手をつかむ。思わず胸が高鳴っていた。

「で、あんたは誰で目的は何?」

「誰って」

「名前じゃなくてどういう状況で、何を勘ぐっているのか聞きたいんだけど。そうやってもやもやしていてもどうしょうもないだろう。言ってくれたら俺の知っていることは話すよ」
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