SAYONARA
 そんな彼を見て、並んで歩く二人を見た時より胸が痛んでいた。

 自分の行動を悔い、青く澄んだ空を仰ぐ。

 自分で、自分の気持ちを迷子にさせてどうするんだろう。

 功にはあの子しか見えていないのに。

 だが、そんな気持ちを気づかれるわけにはいかない。

「英語の宿題はしてきたの?」

「一応、やってきたんだけど分からないところがあったんだ」

 あたしは青いノートを功に差し出す。

「見ていいよ。しっかりと復習をするようにね」

「ありがと」

 彼はノートを受け取ると、ページをめくる。そして、まじめな顔でそのノートを眺めていた。

 そんな彼の姿を眺めながら、さっきの戒めのように、軽く唇を噛んでいた。

 しばらく経ち、チャイムが鳴る。そして、あたしのところにノートが返ってくる。
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