SAYONARA
 翌朝、功があたしのところにやってきた。少しだけ頬を赤く染め、困ったような嬉しそうな笑顔を浮かべている。

「美枝に聞いてみたんだけどさ。一緒に走るのはできないって言っていたよ。でも」
 そこで功は言葉を切った。功は頬を軽くかいていた。

「たまに一緒にいるだけならいいって言っていたんだよね」

「何でわかるんだよ。というか、美枝に余計に気を遣わせたんじゃないかって思うんだけど」

「いいんじゃない。嫌なら来ないでしょう。きっと彼女は嫌なら嫌だと言うよ」

「そうかな」

「そうだよ」

 あたしがそう強い調子で言うと、彼は納得したようにうなずく。

「一つ聞いていい?」

「何?」

「功は美枝のどんなところが好きなの?」

 功の顔が赤くなる。

 あたしはそんな彼を見て、笑っていた。

 ずっと気になっていて聞けなかった事だった。
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