SAYONARA
 彼は由紀子の言いたいことに気付いたのか、待っていると告げるとその場から離れる。本当は出直そうかと言っていたが、それは由紀子がすぐに終わるからと言っていたので、彼が待つことになった。

「美枝に彼とどういう関係かって聞いたら、幼馴染だって言っていたんです」

 彼女は申し訳ないというように、顔の前で手を合わせていた。

「好きなのは功先輩だけだからって言っていたから、気にしなくて大丈夫だって言いたく」

「そうなんだね」

 その見知らぬ美枝の姿が功の姿と重なる。

 きっと彼女も功のように顔を真っ赤にして言っていたのだろう。

「ありがとう」

 あたしは由紀子に笑顔で伝える。彼女の気持ちが痛い程伝わってきた。

 あたしの気持ちを悟ったのか彼女も笑顔になる。

「また明日」

 そう言って由紀子が背を向けたとき、今度は別のキーの高い女性の声が響いていた。
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