王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
謁見
王都の中央に位置する王宮。国王が住む城。
兵士が慌ただしく走り回り、皆それぞれ得意とする武器を手にしていた。
「止まれ! 止まらんか!」
一人の兵士が声を荒げる。
彼の視線の先には、一人の少年が立っていた。
黒髪に両目には包帯を巻いた、まだ年端もいかぬ少年。
左手には大きな袋を掴み、ズリズリと重たそうに引きずっている。
少年は兵士の忠告を無視して歩き始めると、応援にきた兵士とともに腰の剣を抜刀した。
だが兵士は、武器をすぐに手放した。
一瞬にして凍りついた刃。地についた瞬間ヒビが入り、粉々に砕け散る。
兵士は顔を青ざめるが、すぐに気を取り戻して少年へと対峙する。
武器がなくとも体格差で勝る兵士。