王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
一人につき一部屋。しかも三食食事つき。
いたせりつくせりとはまさにこのことなのだが、レインは安全に床に着くことが出来ればそれらの条件はどうでも良かった。
宿に着いた途端に熟睡。夕飯の時間になっても起きず、仕方なくそのまま眠らせてやることにした。
この村を出れば目的地のアレグリア平原まで人里は存在しない。
ここで十二分に身体を休めることも討伐隊の任務である。
食事を終え自室に戻ったユリエスは、ベッドに寝転び漆黒のカギを天に掲げた。
レインに返してもらったマスターキー。
このカギがなかったらどうなっていただろうと思うと悪寒が走る。
「ドラゴンモドキであの強さだもんなあ……」
ポツリと呟く。
この先待ち構えている討伐対象のドラゴンに対抗するには、マスターキーの力が必要不可欠。