王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
身長差があるせいか必然的に国王を見上げる形になるが、そこに身長という壁は存在しない。
レインの放つ異様なまでのプレッシャーに、飲み込まれようとしている。
「思考を止めろ。面倒なことは全て部下に投げ捨て考えさせればいい。いつもそうしてきたのでしょう? 貴方は権力という衣を纏った客寄せマスコットだ。国民から敬い讃えられ、影では大臣という飼育委員の言いなり。
だがそれでいいのです。それが本来あるべき国の形」
「あるべき形?」
「国を作ったのが王族ならば、国を育て上げたのは氷眼の民。王族と氷眼の民は切っても切れぬ関係なのですよ陛下。つまり貴方は……」
レインは背伸びをしながら腕を名一杯上げる。
「氷眼の民(僕)の駒なんだよ」
頬を撫でる。
氷のように冷たい指先は、まるでレインの心を表しているようで。
包帯で隠れているはずなのに、氷蒼の瞳に国王の心は簡単に射られた。
「回答は?」