王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「この雪、極わずかだが魔力が込められているな」
地面に積もった雪を握りしめながらレインが言った。
大気に舞う無数の魔力が、気の流れを妨害し読み取りづらくしていたのだ。
「てことは、この吹雪はドラゴンが魔法で出してるってこと?」
「こんな大規模な魔法、人間が出せるわけないだろう馬鹿女。それにドラゴンの件も薄いな」
イラッとしたがここは我慢。
何度も毒舌を喰らい続ければ、流石に抵抗が付いたらしい。
王都から渡されたドラゴンの情報は、ドラゴンの住処と被害報告のみ。
被害にあった場所はアレグリア平原近くの農村で、村人は全て外傷もなく死んでいたらしい。
そう、村人だけ。
被害にあったのは『人』だけなのだ。
村の形はそのままに、家も木々もなにも変わらず立ち並び、人だけが死に絶えゴーストタウンと化していた。