王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
マルタとエナに意見を求める。
マルタは親指を突き立て「モーマンタイ!」と元気よく言ってのけた。
物理的には可能だが、これには大きな問題が一つある。
肝心な術者の居場所が分からない。
異空間転送は高度な魔法。
術者の力量や術の方式にもよるが、転送先がキチンと特定されてなければ異空間転送などできない。
レインの疑問を感じ取ったのか、セシエルが地図をテーブルの上に広げ、ペンを取り出しグルリと大きな円を書いた。
「気が読めない範囲を円で囲んでみた。とはいっても、ベリルが感じ取ったんだけどね」
ペンで囲まれた範囲は、広大なアレグリア平原の面積とピタリと一致していた。
「術の範囲がアレグリア平原とピッタリということは、平原の中心部に術者いるってことだろ?」
「なるほど。見えない敵だからこそ見える、というわけね」