王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
ユキフラシ
アレグリア平原中心部。
吹雪のど真ん中に転送された三人は、目の前の物体に目を見開いた。
吹雪のせいで視界は悪いが、紫色の巨体は嫌がおうにも視界に入る。
手足がなく横に長く伸びている山のようなそれは、なんとも言い難い姿かたちをなしていた。
「なんだこれは?」
クロスボウに手をかける。
風が強くともこの至近距離なら問題ない。
するとセシエルの袖をレインが握り、それを制止させた。
「無意味に攻撃するな。奴には僕達のことが見えていない」
「見えていない? アレがなんなのか知っているのか?」
「嗚呼」
レインは紫色の物体に視線を向ける。