王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
電光石火の早業だった。
ユキフラシはまるで風船のように身体が窄み、体積が十分の一にまで減る。
それでもレインと同じほどの全長ではあるが。
吹雪が止む。
術の解除は成功。地面に積もった雪も、みるみる溶けて雪水へと化し、茶色い大地を所々見せ始めた。
魔法で作り出した雪。術が解除されれば自動的に雪も消えるようだ。
セシエルとユリエスが縮んだユキフラシに興味津津になっている間、レインは大地に片手をつけた。
僅かだが、地面から魔力を感じる。
ユキフラシが生み出した雪とは違う魔力。
瞳を閉じ意識を手のひらに集中させる。
異様な魔力を辿っていくと、ユキフラシが元いた場所の周りを覆うように、環状な形成になっていた。