王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
国王に気安く触った人物は、レインただ一人だ。
「お前達、皆無事か?」
兵士達はすっと立ち上がる。
陛下に心配させぬように振る舞ってはいるが、膝は笑っていた。
「ん? その袋は?」
部屋の中央に無造作に置かれた大きな袋。
兵士の一人が袋の中身を確認すると、時が止まったようにピタリと動かなくなった。
だがそれもほんの一瞬。気を取り戻し袋の中にある物を両手で掴むと、国王の前へ差し出した。
「それは……!」
レインの置き土産は、氷晶に封じられたドラゴンの生首だった。
王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―