王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
幻龍

何が起こったのか、レイン自身も分からなかった。


気が付けば肩のあたりから左腕はなくなり、大量の血液が噴水のように噴出している。


驚きと戸惑いの後に訪れたのは、気が狂いそうなほどの凄まじい痛み。


たまらず跪き右手で患部を押えるが、痛みはおろか出血も治まる様子はない。


このままでは出血多量で死ぬ。


薄れゆく意識の中で、レインは氷結魔法を自分の左腕に放った。


患部は凍り付き一先ず出血は治まる。


冷気が痛み止めの役割を果たしているが、御情け程度で痛みが和らぐことはない。


足元には赤黒い血の池が広がり、身に起こった出来事をリアルに伝える。


近くでユリエスがなにかを喋っているが、レインの耳に届くことはなかった。


時間の感覚が狂い、辺りはスローモーションのようにゆっくりと時が進む。


このまま意識の奥底に落ちそうになる。
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