王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
弓が腹部に突き刺さった小さなドラゴン。
小さいとはいえ大型犬程度の大きさがあり、霧の中でもハッキリするオレンジの表皮が目に飛び込んできた。
良く見ると、口元には血糊がついている。
一目で分かる。レインの左腕を奪った犯人だと。
「レイン君!」
ドラゴンを撃ち落としたセシエルが駆け付ける。
氷で止血した左腕を見るなり、言葉を失い眉間に皺を寄せた。
痛々しい姿に胸が締め付けられる。
「すまない……。俺がもっと早くドラゴンの気配に気づいていれば……」
「謝罪の言葉などいらない……それより周りを良く見てみろ」
周り?
辺りを見回すと、霧の奥からオレンジの姿が映し出された。