王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
それも大量に。ドラゴンの群れが三人を取り囲む。
「嘘だろ。ドラゴンの気なんてさっきまで感じなかったのに!?」
「ど、どうすんだよこの状況……」
狼狽する二人。
レインは魔法を唱えようとするが、腕の痛みのせいで集中力が欠かれ魔力を練ることができない。
セシエルはクロスボウに矢をセットしようとしたが、困惑のあまり矢が手から滑り落ちてしまった。
それを合図に、ドラゴン達が襲いかかる。
キシャー! と甲高い鳴き声を上げながら、鋭い牙を向けるドラゴン。
矢も剣も間に合わない。
そう判断したセシエルは、子供達だけでも守ろうと、二人を庇うように抱きかかえた―――