王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「さっきからおかしいんだ。急にドラゴンの気配が現れるし、今も倒したはずなのに数が増えている」
「私も感じている。異空間転送ではなさそうだし、幻術の一種かとも思ったがドラゴンは実体だった」
足元に転がるドラゴンの死体。
感触は確かにあった。レインの腕も考えると、この死体は本物だ。
今一度剣を突き刺すが、やはり生々しい感触が手に伝わった。
ならばどうやってドラゴンが出現したのか?
その謎を解明したのは、一番の被害者であるレインだった。
「……幻龍だ」
傷口を押えながら、弱弱しく言葉を紡ぐ。
「昔ある文献に書いてあったのを読んだことがある。幻術を具現化させ、意のままに操ることができるドラゴンがいると」
「幻術を具現化? どういうことだ」