王国ファンタジア【氷眼の民】―ドラゴン討伐編―
「そのままの意味だ。幻龍は自分が思い描いた空想を具現化することができる。つまり、幻術が現実に起こるんだ」
幻術というのは相手の精神にダメージを与える珍しい術。
通常の魔法のように魔力を練って発動。という簡単なものではなく、幻術をかける対象者の五感を仲介して初めて術が発動される。
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。
いずれかの五感から作用し、対象者の脳を支配する。これが幻術のオーソドックスなかけかただ。
幻龍は規格が違う。
幻術フィールドを展開させ、その範囲内では自分の作り出した幻想を具現化・実体化させる。
五感も脳も支配する必要などない。
そして具現化できるのは、なにも実体を持ったものだけではない。
死のイメージさえも、具現化する。
「それじゃあ、もしその幻龍が俺達の死をイメージしたら……」